企業がフリーランスとの取引に関して適正な対応をするためには、いくつかの重要な事項が求められます。「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(以下フリーランス法)では、フリーランスの権利を保護し、企業とフリーランスの取引が公正かつ透明に行われることを目的としています。 フリーランス法の下で、企業がフリーランスとの取引に関して適正な対応をするためには、次の手続きや取り組みが必要となります。
1.契約書の締結
企業は、フリーランスに業務を発注する際に、書面または電子的に明確な契約書を交わす必要があります。契約書には、以下の事項を明確に記載することが求められます。
– 業務内容(具体的な業務範囲や納品の詳細)
– 報酬額と支払い方法(支払い期日や条件を明確にする)
– 納期や業務完了までの期限
– 契約解除の条件(契約が途中で解除される場合のルール)
– 知的財産権の帰属(特にクリエイティブな業務の場合)
以上、上記の内容を盛り込んだ契約書があることで双方の責任や権利が明確になり、後々のトラブルを防ぎます。
2.報酬の適正化
企業は、フリーランスに対して適正な報酬を負担する義務があります。不当に低い報酬や支払い遅延を避け、報酬の適正性を確保するために以下の点に留意する必要があります。
– 適正な報酬額:業務の内容や市場の市場に応じた報酬を設定しなければなりません。
– 支払い期日の遵守:フリーランスが業務を完了した後、契約で定められた支払い期日までに報酬を支払う事が必須となります。支払いの遅延や無報酬は法律予告となる場合があります。
3.業務範囲の明確化と変更対応
業務範囲や契約内容を事前に明確に定めることが重要です。何らかの契約変更や、業務範囲が変更される場合には必ずフリーランスと協議し、双方の合意が必要です。契約内容を一方的に変更することは違反となります。 特に次のような行為はNGです。
– 業務内容や納期を一方的に変更する
– フリーランスに対して追加の業務を強制する
– 報酬を減額する
4.ハラスメントの禁止
フリーランスとの取引に関して、企業はフリーランスに対して不当な圧力やハラスメントを行わないようにしなくてはなりません。フリーランスが快適に働ける環境を提供し、適切なコミュニケーションをとることが重要です。例えば、以下のような行為は問題になります。
– 短すぎる期限の強制
– 相応な対応や、威圧的な態度
– 不当な支払いの遅延や業務の環境等
5.取引条件の透明性確保
企業は、フリーランスに対して取引条件を明確かつ透明に提案する必要があります。 特に、以下の点が明確でないことでトラブルが発生しやすいため、事前に十分- 業務の内容や範囲(どこまでの業務が求められるか)を定める必要があります。
– 成果の評価基準
– 報酬の条件(結局報酬が支払われるか)
6.契約解除や終了時の適正手続き
企業がフリーランスとの契約を解除または終了する際には、特に次の点に注意が必要です。契約終了時に適正な手続きを行うことで、フリーランスとの関係を円満に定めることができます。状況次第では企業側が補償を行う必要があるケースも発生するでしょう。
-一方的な契約解除
-契約解除の理由や条件を明確にし、事前に通知すること
-未払いの報酬がある場合は、契約終了時までに解決すること
7.社会保険や労災保険の適用
特定の状況に関しては、フリーランスが労働者とみなされる場合があります。この場合、企業は社会保険や労災保険の適用を検討する必要があります。企業の指揮命令下でフリーランスが働く形態の場合、実質的に労働者と同じ扱いを受ける可能性があり、適切な保険への追加が求められることがあります。
8.フリーランス取引ガイドラインの遵守
内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁及び厚生労働省が連名で提供する「フリーランス取引適正化ガイドライン」に準拠することが重要です。ガイドラインでは、契約書の明確化、報酬の適正化、取引の透明性の確保、ハラスメント防止などの具体的な指針が示されており、企業がフリーランスと健全な取引を行うための基準が記されています。フリーランスの人たちと業務を行うためには、契約書の明確化、報酬の適正化、一方的な契約変更の防止、ハラスメントの排除、取引条件の透明性確保など、様々な準備が必要です。今後は、フリーランスとの健全な取引関係を明らかに、なお一層法律に基づいた正当な対応が求められるでしょう。