メンタルヘルス

社員の健康診断を管理する義務はどこまであるの?

先日、お客様から『企業は安全配慮義務違反を問われると聞きましたが、企業規模は関係ないのか?実際にどのような処分に問われるのか?』と質問がありました。そこで、次の通り回答を差し上げました。

【企業の安全配慮義務について】

従業員1名でも「常時雇用」「1年以上雇用が見込まれる」のであれば健康診断の受診及び保管義務はあります。

⇒50名以上で産業医の選任義務、報告、健康診断の結果の提出があります。

罰則については、安衛法66条違反により安衛法120条に該当するため罰金50万となります。一方で「従業員が受けたくない、見せないと言っている」ケースで悩まれている企業のご担当者も多いと思います。そこで、安衛法66条では労働者に対しても義務を課しています(但し労働者への罰金はありません)。労働者への配慮は“自分で指定する病院でもいいから受けなさい”としているためです。但し、それでも受けない場合があります。その際は事業主が就業規則で罰則を設け、安衛法に沿って罰則を与えるという条項を設けることで受診を促すことを提案しています。(過去の判例では、会社指定病院でないとNGとの就業規則がOKであった判例もあります。)

【公益通報】

違反が公になるケースとしては労基署の調査です。50名未満の会社の場合では労基署も定期監査はほぼありません。但し、逆に労基が監査に来る場合は、100%通報です。社員や退職社員が未払い残業や有給取得、パワハラに不満を持っており、通報している事案です。実名報告の場合、即労基署は調査に来ます。一方で通報した本人が実名を伏せる場合もあります。その際は3か月くらい後に労基署が定期監査ですと言ってきます。法定帳簿と健康診断記録は必ず確認し、2週間程度で改善報告を出すよう求められます。そのため日頃より法令を順守しておかないと結構大変です。

社員の健康管理等において50名未満の企業様であれば「産保センター」の活用が有効です。https://www.johas.go.jp/shisetsu/tabid/578/Default.aspx

ぜひ社会資源を有効活用いただき、働きやすい環境整備を進めていただければと思います。

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